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札幌地方裁判所 昭和46年(ワ)685号 判決 1977年3月30日

原告

大原達

右訴訟代理人

橘精三

外二名

被告

金沢卓二

外二名

右被告三名

訴訟代理人

庭山四郎

主文

被告金沢卓二、同松岡義定は原告に対し連帯して金四一三、六九六円、および、これに対する昭和四六年六月一日から支払いずみに至るまで日歩五銭の割合による金員を支払え。

被告竹内恒宏、同松岡義定は原告に対し、連帯して金一八三、九〇〇円、および、これに対する昭和四六年六月一日から支払いずみに至るまで日歩五銭の割合による金員を支払え。

原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用はこれを一〇分し、その九を原告の、その余を被告らの負担とする。

この判決は、原告勝訴の部分に限り、被告らに対しそれぞれ仮に執行することができる。

事実

第一  当事者双方の申立

一、原告

「被告金沢卓二、同松岡義定は、原告に対し、連帯して、金六、九九二、三三四円、および、これに対する昭和四六年六月一日から支払いずみに至るので日歩五銭の割合による金員を、被告竹内恒宏、同松岡義定は、原告に対し、連帯して、金三、一〇七、七〇六円、および、これに対する昭和四六年六月一日から支払いずみに至るまで日歩五銭の割合による金員をそれぞれ支払え。訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決、ならびに、仮執行宣言。

二、被告ら

「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決。

第二  当事者双方の主張

一、請求原因

(一)  原告は、昭和三七年三月二八日、その所有にかかる別紙目録(一)記載の土地(以下本件(一)の土地という)を被告金沢卓二に、同目録(二)記載の土地(以下本件(二)の土地という)を被告竹内恒宏に、それぞれ次の約定で賃貸した(以下本件賃貸借契約という)。

1 賃貸期間  六〇年

2 賃貸の目的

原告の所有にかかる札幌市中央区南二条西三丁目七番地の一の土地(以下単に七番地の一の土地という、本件(一)の土地はその一部)、同所七番地の二の土地(以下単に七番地の二の土地という、本件(一)、(二)の土地はその一部)、ならびに、他の者の所有にかかる同所六番地の一ないし六の土地(以下単に六番地の一ないし六の土地という)、同所八番地の一ないし五の土地(以下単に八番地の一ないし五の土地という)合計456.94坪の敷地上に被告金沢、同竹内が他の一三名と共同してビルを建築し、その所有を目的とする賃貸借

3 地代(以下本件(一)の土地の地代を本件(一)の地代、本件(二)の土地の地代を本件(二)の地代という)

(1) 昭和三八年八月末日まで(ビル建築予定期間)は、一か月につき、各賃貸土地の固定資産評価額の一〇〇〇分の6.5に相当する金額

(2) 昭和三八年九月一日からは、一か月につき、各賃貸土地の固定資産評価額の一〇〇〇分の12.7に相当する金額

(3) 固定資産評価額の改定があつたときは、一〇〇〇分の12.7の比率はそのままとし、改定された固定資産評価額の一〇〇〇分の12.7に相当する金額に自動的に増減される。

(4) 支払期限・支払方法

毎月末日払、原告方に持参する。

(5) 遅延損害金  日歩五銭

(二)  被告松岡義定は原告に対し、被告金沢、同竹内の本件賃貸借契約上の債務について、連帯して支払いの責に任ずる旨の保証をした。

(三)  ところで、昭和四五年四月一日から、前記七番地の一、二の各土地(いずれも面積223.14平方メートル(67.50坪))の固定資産評価額はいずれも金七四、一九四、〇〇〇円に改定された。そこで面積比に基づいて按分すると、本件(一)の土地の固定資産評価額は金五一、九三五、七八二円、本件(二)の土地のそれは金二三、〇八二、五七〇円となる。そうすると、前記の約定により、昭和四五年四月一日からの一か月当りの地代は、本件(一)の地代が金六五九、五六二円、本件(二)の地代が金二九三、一三九円となつた。

(四)  従つて、昭和四五年四月一日から昭和四六年五月三一日まで地代として、被告金沢は合計金九、二三三、八六八円(金六五九、五六二円×一四か月)の、同竹内は合計金四、一〇三、九四六円(金二九三、一三九円×一四か月)のそれぞれ支払義務があり、同松岡は右各債務につき連帯保証債務を負うところ、右期間の地代として、被告金沢は合計金二、二四一、五三四円、同竹内は合計金九九六、二四〇円をそれぞれ支払つたのみでその余の支払いをしない。

(五)  そこで、原告は、被告金沢、同松岡に対し、連帯して本件(一)の右地代金残額金六、九九二、三三四円(金九、二三三、八六八円―金二、二四一、五三四円)、同竹内、同松岡に対し、連帯して本件(二)の右地代金残額金三、一〇七、七〇六円(金四、一〇三、九四六円―金九九六、三四〇円)、ならびに、右各金員に対するそれぞれ最終弁済期の翌日である昭和四六年六月一日から支払い済みに至るまで、約定による日歩五銭の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二、請求原因に対する答弁

(一)  請求原因(一)、(二)の事実は認める。

(二)  同(三)の事実のうち原告主張のとおり、固定資産評価額の改定があつた点は認め、その余は争う。

(三)  同(四)の事実のうち、被告らの地代支払いの事実、および、金額は認め、その余は争う。

三  抗弁

(一)  事情変更

1 請求原因一の3記載の本件地代に関する約定は、契契締結当時の状態、すなわち、固定資産評価額と時価との間に相当な懸隔のあること、および、右固定資産評価額が毎評価替え年度に於て小額の上昇率を示していた状態を前提としたものである。

2 しかるに、昭和三九年以降従来の固定資産評価基準は一擲され、固定資産評価額を時価に近接せしめるため飛躍的な評価増を生む新基準が実施された。そのため、昭和三九年度の本件(一)、(二)の土地の固定資産評価額は契約締結時のそれの4.75倍、昭和四五年度には契約締結時の約8.7倍となつた。

3 右の事態は、原・被告らのいずれにおいても、契約当初において全く予想しなかつたところであり、かつ被告らの責に帰すべき事由によつて生じたものではない。

4 右の事情変更により、本件賃貸契約の地代に関する約定については、契約文言どおりの拘束力を認めることは信義の原則に反する結果となるので、右約定については効力のないものとなつた。

(二)  地代減額請求

仮に、本件の地代に関する約定が有効であるとしても、

1 本件(一)、(二)の地代は、昭和四五年四月一日からは、一か月につき坪当り金一〇、〇〇〇円以上となり、これに対し、比隣の土地(札幌市中央区南三条西三丁目一四番一、三、同所一三番一、同市同区南二条西三丁目三番一、同所四番一、同所五番一、二の各土地)の地代は金一、六〇〇円ないし金三、〇〇〇円であるから、本件(一)、(二)の地代は比隣の土地に比し、不相当に高額となつた。

2 そこで、被告らは、昭和四五年九月二五日付書面で、原告に対し、月額適正賃料である坪当り金三、二九〇円に減額する旨の意思表示をした。

四、抗弁に対する認否

(一)  抗弁(一)の事実は争う。

(二)  同(二)の1の事実のうち、本件(一)、(二)の地代が不相当に高額になつたとの点は否認し、被告ら主張の近隣土地の地代については知らない。被告ら主張の近隣土地の賃貸借と本件賃貸借とでは所有建物の種類、構造、賃貸期間等が異なっており、比較の対象として不適である。他の近隣土地(前記六番地の一ないし三、八番地の二の各土地)の地代は、本件と同様に増額されている。同(二)の2の事実は否認する。

第三  証拠関係<略>

理由

一請求原因(一)、(二)の各事実、および、同(三)の事実のうち、昭和四五年四月一日から、本件(一)の土地の固定資産評価額が金五一、九三五、七八二円、本件(二)の土地の固定資産評価額が金二三、〇八三、五七〇円となつたことは、いずれも当事者間に争いがない。そうすると、当初約定された地代算定方法に従う限り、昭和四五年四月一日から、本件(一)、(二)の土地の地代が原告主張のような上昇を示すこととなるので、右方法による拘束力の限度について、以下審究することとする。

二被告らは、まず、事情変更の原則により、右昭和四五年四月一日当時においては、右地代算定方法に関する約定はその効力がなくなつた旨主張するので、検討する。

<証拠>によれば、本件(一)の土地については被告金沢が、本件(二)の土地については被告竹内が、それぞれ原告から賃借し(いずれもその先代からの継続)、その地上に木造建物を所有して、これを店舗として使用してきていたが、昭和三七年三月二八日、従来の賃貸借から堅固な建物の所有を目的とする賃貸借、すなわち、本件(一)、(二)の土地、および、これ以外の七番地の一、二の土地、六番地の一ないし六、ならびに、八番地の一ないし五の各土地にまたがるデパート(名称サンデパート、以下サンデパートという)を、右各土地の賃貸人あるいは所有者と共同して建築し、その所有を目的とした賃貸借に改め、これに伴ない、地代・期間等の借地条件についても請求原因(一)記載のとおりの約定(本件賃貸借契約)に変更したこと、右約定によれば、本件(一)、(二)の地代は、昭和三八年九月一日から一か月につき各賃貸土地の固定資産評価額の一〇〇〇分の12.7に相当する金額とし、固定資産評価額の改定があつたときは、右地代もその一〇〇〇分の12.7に自動的に増減されることとなつていたこと、ところで、右の地代算定基準が用いられるに至つたのは、原告と同被告との間で。右算定方法自体に合理性を認めたとか、あるいは、その他何らかの確然とした意図・目的があつたわけではなく、同じサンデパートの敷地である六番地の一の土地について、すでにかかる基準に従つて地代が定められていたのに倣つたものにすぎなかつたこと、ところが、一〇〇〇分の12.7の比率が適用された昭和三八年九月一日から本訴における係争期間の始期である昭和四五年四月一日までの本件(一)、(二)の土地の固定資産評価額の推移は、別表一記載のとおりであつて、これに右算定基準を適用すると、本件(一)、(二)の地代額は別表二記載のとおりとなるのに対し、現実に被告らが原告に対し地代として支払つた金額は別表三記載のとおりであり、右支払額を超える分については、その都度両者間で話し合いのうえ、原告において債務を免除してきたこと、そうすると、右支払額の伸びは五年六か月間で七二パーセントの上昇、年平均・前年度対比約一一パーセント程度の上昇率であるから、本件賃貸借契約締結時に先立つ五年間の本件(一)、(二)の土地の固定資産評価額の上昇率(すなわち固定資産評価額の推移は別表四記載のとおりで、その上昇率は五年間で約四八パーセント、年平均・前年度対比約八パーセント)をやや上回る程度にとどまっていること、また原告は、右契約締結当時本件(一)、(二)の土地の固定資産評価額が大体三年毎に評価して三〇パーセント程度の上昇をしているとの認識を持つていたことが認められ、又、証人金沢修栄の証計によれば、かかる固定資産評価額が右のように急激な上昇を示したのは、札幌市が、固定資産税評価制度調査会の答申に基づき、税制度下における宅地評価額の各市町村下の不均衡および同じく価格を課税標準とする三固定資産、すなわち土地、家屋、償却資産の下における価格の不均衡を是正するため、昭和三九年度から土地の評価につき新しい評価基準を採用するに至つたためであることが認められ、その反証はないから、このような課税評価基準の変更は本件賃貸借契約締結当時原・被告らにおいて予見することができなかつたものであること、以上の事実が認められ、右各認定を覆すに足る証拠はない。そうすると、以上認定の事実によれば、本件賃貸借契約において、原・被告らが本来変動が予定されている固定資産評価額を地代算定の基準として約定したのは、右固定資産評価額が契約締結当時の上昇率と著しく異ならない程度で推移することを前提としたものと認めるのが相当であり、そうだとすると、右固定資産評価額は別表一記載のとおり推移し、これによると、昭和三九年度には契約締結時の4.75倍、同四五年度には8.72倍といつた大幅な上昇となり、年平均前年度対比約三〇パーセントの上昇率(契約締結当時の約四倍)を示すという契約当初予見し難い事由が生じ、しかも、これが前認定のように課税評価基準の是正という当事者の責に帰すことのできない事情に帰因している以上、少なくとも昭和四五年四月一日の時点においては、本件賃貸借契約の地代算定の基礎をなす事情について変更があつたものというべきであり、このような場合、契約文言どおりに当事者を拘束することは信義衡平の原則上著しく不当というべきである。

三ところで、かかる場合にあつては、事情変更の原則の適用を肯定するのが相当であるところ、本件賃貸借契約締結の経緯等に従えば、これにより地代算定方法(その動的性格を含む)、ひいては、地代額についての合意の存在を全く否定することは、当事者の意思に合致する所以でないから、むしろ、本件においては、原・被告らによる増・減額の主張を加味しながら、右契約内容について合理的な改訂をすることとし、以下前記(一)、(二)の各地代の適正額について検討する。

<証拠>よれば、本件(一)、(二)の土地を含む近隣地域は、高度商業地域の中心であり、地下商店街の出現によつて繁栄の度合はやや鈍化の傾向にあるものの、依然、札幌市における代表的商品街を形成しており、その更地価格は、同類型地の公示地札幌市中央区南一条西三丁目八番八および同番二〇の価格(公示価格)に二〇パーセント減価したものをもつて査定されること、この更地価格を基礎に底地価格を算定したうえ、正常賃料算定方式に重点を置いて積算賃料(すなわち底地価格に期待利回りを乗じた純賃料に必要経費を加えたもの)を査定すると、本件(一)、(二)の土地につき、いずれも、昭和四五年四月一日現在では一平方メートル当り金一、一三二円、昭和四六年四月一日現在では一平方メートル当り金一、二五六円と算定されること、比準賃料については、同市同区南二条西三丁目五番一および四番一の土地、同市同区同条西二丁目一三番狸小路、および、南三条通りの土地、ならびに、同市同区同条西四丁目四番、五番一および六番一の内いずれも狸小路店舗地における各賃料を参考事例として査定すると、昭和四七年四月一日現在で一平方メートル当り金一、四一〇円と算定されることが認められ、一方、<証拠>によれば、右公示地の昭和四五年度、および、同四六年度の各固定資産評価額は、いずれも一平方メートル当り金三三五、七〇〇円であることが認められ、以上の認定に抵触する証拠はないところ、これと前記の本件(一)、(二)の土地の固定資産評価額とを比較対照すると、右各年度における本件(一)、(二)の土地の一平方メートル当りの固定資産評価額は右公示地のそれの0.99倍であることが明らかである。しかしながら、同鑑定証人の証言によれば、土地価格の査定については、路線価の比較によつてなすべきであり、固定資産評価額の比較によつて査定することは必ずしも妥当ではないため、右鑑定においても路線価と商況の程度を参考にして査定したことが認められ、右認定に反する証拠はないから、たとえ右のように本件(一)、(二)の土地と右公示地の一平方メートル当りの固定資産評価額がほとんど同一であるからといつて、前記鑑定にかかる土地価格の査定の合理性に欠けるとすることはできない。

ところで、原告は、右鑑定において、比準賃料算定のための参考とされた前記の近隣土地以外に、本件賃貸借契約の文言と全く同一に地代増額されている土地として、前記六番地の一ないし三および八番地の二の各土地があるから、これらについても参考事例として斟酌すべきである旨主張するが、前示のとおり右各土地はいずれもサンデパートの敷地であるうえ、右土地の賃貸借については次のような事実が認められるので、これを考慮することはできない。すなわち、<証拠>によれば、右各土地の賃貸借は、サンデパート建築後も、従前個別に建物を所有していた賃借人とその敷地部分の地主との個別的な契約のままとされ、その契約において、地代金は本件賃貸借契約と同様に固定資産評価額を基準としてその一〇〇〇分の12.7(一部の土地については一〇〇〇分の八)に相当する金額とする旨約定されていたものの、サンデパートの共有者内部においては、各個別契約の地代金を合計した敷地全体の地代金に各共有持分を乗じた金額について各共有者が負担する旨合意され、かつまた、サンデパートの敷地の地主、および、賃借人は原告を除いて全てサンデパートの共有者となっていた関係(すなわち、地主たる共有者については、建物の共有者として地代を負担するとともに、所有敷地については、地主として地代の支払を受けることとなる)から、前記のような固定資産評価額の急激な上昇に遭遇してこれに対応すべく、適宜共有者らが話し合いを行ない、前記の比率(一〇〇〇分の12.7、一部については一〇〇〇分の八)に適用すべき基準として、固定資産税課税標準額(以下単に課税標準額という)を用いることとし、昭和四三年四月一日以後においても、昭和四二年度の課税標準額を地代算定の基準として、据え置くなどして、自主的に各共有者間の利害の調整を図つてきたこと、しかるに、原告は、サンデパートの共有者ではないため、各共有者からサンデパートの管理を委託されていた有限会社サンデパートにおいて、昭和四三年六月には金二〇万円を支払つて、基準となる課税標準額の据え置きを依頼したり、昭和四五年四月からは、他の地主よりは有利な不動産鑑定士前田勇の鑑定結果に基づく地代の支払いをしたりしてきたこと、以上の事実が認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。そして、以上認定の事実関係のもとにおいては、原告主張にかかる各土地の賃貸借関係は、本件(一)、(二)の土地のそれとは事情を異にしており、本件(一)、(二)の土地の適正な比準賃料を算する際の参考事例になるものとは認め難い。以上のとおり、右鑑定結果の比準賃料の査定の過程においても、原告主張のような不合理があるとは認めることができない。

なお、<証拠>によれば、本件(一)、(二)の土地について、従前の非堅固な建物所有を目的とする賃貸借から堅固な建物所有を目的とする本件賃貸借契約に改めるに際し、原告と被告金沢、同竹内との間で建物承諾料的権利金として坪当り金七万円が授受されたが、これは権利金としては僅少な金額であり、そのため、鑑定人により本件(一)、(二)の土地の借地権価格は、有償により借地権価格と自然発生的借地権価格との混在しているものと判断されていることが認められ、これを左右するに足る証拠はない。

そこで、前記鑑定にかかる積算賃料・比準賃料の査定金額のほか、従前の賃貸借を含めた貸借期間、従前の賃貸借の内容、本件賃貸借契約締結に至る経緯、地代に関する約定、その後の現実の地代支払状況、所有建物の種類・構造、他の建物共有者の存在、および、その管理形態等の事情、ならびに、前示承諾料にかわる権利金に関する事実など一切の事情を総合勘案して検討すると、本件(一)、(二)の地代は、昭和四五年四月一日から昭和四六年三月三一日までの間は、一平方メートル当り月金一、二〇〇円、昭和四六年四月一日から同年五月三一日までについては、金一、三〇〇円が相当と思料される。そうだとすると、当裁判所としては、本件賃貸借契約と地代に関する部分について、右のとおりに契約内容を改訂することを以て合理的と解すべく、これに従えば、本件(一)の地代については、昭和四五年四月一日から昭和四六年三月三一日までは一か月につき金一八七、四二八円、同年四月一日から同年五月三一日までは金二〇三、〇四七円となり、右各期間を併せた総額は金二、六五五、二三〇円となり、また本件(二)の地代については昭和四五年四月一日から昭和四六年三月三一日までは一か月につき金八三、三〇四円、同年四月一日から同年五月三一日までは一か月につき金九〇、二四六円となり、右各期間を併せた総額は金一、一八〇、一四〇円となる。

してみると、右各期間における地代として、被告金沢は合計金二、二四一、五三四円を、同竹内は合計金九九六、二四〇円をそれぞれすでに支払い済であることは当事者間に争いがないから、被告らは原告に対し、これを控除した金額すなわち被告金沢は金四一三、六九六円の、同竹内は金一八三、九〇〇円のそれぞれ支払義務があり、また、同松岡は連帯保証人として、右被告金沢、同竹内とそれぞれ連帯して、これらを支払う義務があることとなる。

四以上によれば、原告の本訴請求は、被告金沢、同松岡に対し、連帯して、右金四一三、六九六円、同竹内、同松岡に対し、連帯して、金一八三、九〇〇円、および、これらに対する最終弁済期の翌日である昭和四六年六月一日から支払いずみに至るまで約定利率日歩五銭の割合による遅延損害金の支払いを求める限度において理由があるから、これを認容し、その余は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担について、民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条を、仮執行宣言について同法第一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(稲垣喬 星野雅紀 高橋勝男)

表三

表二

表一

現実の地代支払金額

(月額円)

約定の算定方法による地代

(月額円)

固定資産評価額

(円)

対象土地

年月

75,600(評価額の12.7%)

33,599(   〃   )

75,605

33,604

5,953,195

2,645,949

(一)の土地

(二)の土地

}38.9~39.4

90,726(課税標準額の12.7%)

40,324(    〃    )

359,119

159,613

28,277,151

12,568,025

(一)

(二)

}39.4~40.3

90,726(    〃    )

40,324(    〃    )

359,119

159,613

28,277,151

12,568,025

(一)

(二)

}40.4~41.3

92,631(昭和40年度の課税標準額の12.7%+税金額)

41,170(    〃    )

359,119

159,613

28,277,151

12,568,025

(一)

(二)

}41.4~42.3

130,629(課税標準額の12.7%)

58,059

359,119

159,613

28,277,151

12,568,025

(一)

(二)

}42.4~43.3

130,629(昭和42年度の課税標準額の12.7%)

58,059(    〃    )

359,119

159,613

28,277,151

12,568,025

(一)

(二)

}43.4~44.3

130,629(同上)

58,059(    〃    )

359,119

159,613

28,277,151

12,568,025

(一)

(二)

}44.4~45.3

659,550

293,140

51,933,140

23,082,134

(一)

(二)

}45.4

表四

固定資産評価額

(円)

対象

土地

年度

4,016,044

1,784,965

(一)

(二)

}32

4,583,015

1,784,965

(一)

(二)

}33

4,583,015

1,784,965

(一)

(二)

}34

4,583,015

1,784,965

(一)

(二)

}35

5,953,195

2,645,949

(一)

(二)

}36

5,963,195

2,645,949

(一)

(二)

}37

目録、図面<省略>

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